抄録
2012年7月から2021年9月に当科で甲状腺病変に手術を施行した365例,440側を検討した。良性疾患112例,悪性腫瘍253例であった。穿刺吸引細胞診の正診率は91.7%であった。穿刺吸引細胞診でClassⅢ症例のうち76.4%が悪性腫瘍であった。術後反回神経麻痺を認めたのは20側であり,一過性が16側,永続性が4側であった。術後反回神経麻痺の有無を年齢,性別,手術側,病理組織診断,頸部リンパ節郭清の有無,腫瘍径の各因子について検討した。55歳以上,両側,悪性腫瘍や頸部リンパ節郭清を要する症例で術後反回神経麻痺が多い傾向にあった。