2023 年 26 巻 p. 161-170
筆者らは,視覚を用いて運動錯覚を誘導する治療を開発・システム化し,脳卒中後の麻痺が最重度の患者に対して適応となる能動的な努力を必要としない治療法である他動誘導型運動錯覚療法の臨床的有効性を報告してきた.他動誘導型運動錯覚療法により運動機能の改善を認めるものの,機能的電気刺激などの次の段階の治療に移行することが難しい患者が存在する.筆者らはそのような患者に対して適応となる,筋電図情報を基にして映像内の仮想身体が駆動することで運動を知覚するフィードバック療法である能動制御型運動錯覚療法を先述のシステムに実装した.脳卒中後片麻痺患者1名を対象に,能動制御型運動錯覚療法を実施し,運動機能の改善を認めた.