当院での深頸部膿瘍256例について,45%を耳鼻咽喉科頭頸部外科が,36%を歯科口腔外科が診療を担当した。気道確保を要した36例(14%)は,救急診療科と耳鼻咽喉科頭頸部外科が担当した。気道確保群は年齢層が高く,複数の頸部筋膜間隙に及ぶ例が多く,Streptococcus anginosus類の検出が多かった。気道確保には気管挿管(23例)と気管切開(13例)があったが,両者の抜管までの日数に有意差はなかった。気道確保群での排膿法は経皮的ドレーン留置と切開排膿があったが,入院日数に有意差はなかった。気道確保と排膿の方法は,いずれの方法にも利点があり,時期を逸することなく行うことが重要である。