頭頸部外科
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症例
上顎洞癌に対する導入化学療法中にアメーバ赤痢を合併した1例
山内 麻由櫛橋 幸民羽生 健治伏見 千宙増淵 達夫多田 雄一郎三浦 弘規
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キーワード: 化学療法, アメーバ赤痢
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2023 年 33 巻 1 号 p. 53-58

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抄録

57歳男性,上顎洞癌cT4aN0M0の患者に対し,導入化学療法としてドセタキセル60mg/m2,シスプラチン60mg/m2,TS-1 20mg/bodyを投与した。第7病日に発熱性好中球減少症となり抗菌薬加療を開始した。第25病日に下血を認め,大腸内視鏡検査にて大腸に多発する潰瘍性病変を認めた。同部位の生検からアメーバ性大腸炎の診断となった。さらにアメーバ性肝膿瘍も併発したため,メトロニダゾールの投与や肝膿瘍穿刺ドレナージ術などの集学的治療を行ったが敗血症性ショックおよび下血による出血性ショックにより死亡した。アメーバ赤痢は,致死的な劇症型に移行した例も散見される。化学療法中に下血を伴う腹部症状を認めた際には,アメーバ赤痢を鑑別のひとつにおく必要がある。

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