2024 年 33 巻 3 号 p. 331-340
当科では2018年よりワルチン腫瘍例に対し被膜外摘出術を行っており,その治療結果を報告する。対象はワルチン腫瘍新鮮例9例,11個で,4個は深葉腫瘍であった。全例顔面神経モニタリング下に手術を行った。耳下腺浅葉剥離後に腫瘍被膜全周に少量の耳下腺組織を付けて摘出する手術を予定したが,腫瘍の耳下腺外露出や顔面神経との接触により部分的に耳下腺組織を付ける症例が多かった。深葉腫瘍例は全例が被膜外核出術となった。過去の報告よりも大きな腫瘍や深葉腫瘍を対象としたため短時間の手術にはならなかったが,合併症のない手術が行えた。術中顔面神経モニタリングを用いれば被膜外摘出術の適応が拡がると考えられた。