抄録
唾液腺腫瘍において,Myoepithelial carcinoma(筋上皮癌)は極めて稀な腫瘍で,発現頻度は唾液腺の上皮性腫瘍の0.1~0.7%とされている。今回耳下腺が原発と考えられるMyoepithelial carcinomaの1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。腫瘍は長径7cmで右耳下腺深葉から副咽頭間隙にかけて存在していたため,下顎正中離断による耳下腺深葉腫瘍切除,下顎骨辺縁切除術を施行し摘出した。組織学的には紡錘型の核が密に増生し,筋上皮細胞の腫瘍性増殖を認め,脈間浸潤も認められた。免疫組織化学的検査ではa-SMA,EMA陽性であり,鑑別診断に重要であった。