頭頸部外科
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内リンパ嚢開放術の問題点
関 聡山本 裕高橋 姿
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2005 年 15 巻 1 号 p. 5-9

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抄録

 内リンパ嚢開放術では乳突洞削開術などのsham operationでも効果が同等である,また効果が永続的でなく,肉芽や瘢痕による再狭窄・閉鎖のため再発が高率で起こる,など内リンパ嚢開放術を疑問視する声も存在する。これらの問題点を改善し,信頼性を高めることが,より多くのメニエール病患者の手術的治療法として内リンパ嚢開放術が支持されることに繋がると考えられる。内リンパ嚢開放術では乳突洞を大きく削開し,解剖学的指標として外側ならびに後半規管隆起を同定した後,S状静脈洞,後頭蓋窩硬膜を露出し,後半規管内側から扇状に拡がり後頭蓋窩硬膜上に存在する内リンパ嚢を確認する。乳突洞後下方を充分に削開すると同定が容易なため皮膚切開を従来の乳突洞削開術より1cm後方においている。内リンパ嚢の再狭窄・再閉鎖を防ぐには大きく開放し,確実に固定することが重要と考えられ,内リンパ嚢外壁はL字に大きく切開する。翻転した内リンパ嚢外壁を固定するのに,従来は骨壁にフィブリン糊で固定していたが,最近では側頭筋膜を用いて内リンパ嚢外壁を吊り上げるように縫合固定する方法を試みている。

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© 日本頭頸部外科学会
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