頭頸部外科
Online ISSN : 1884-474X
Print ISSN : 1349-581X
ISSN-L : 1349-581X
難治性メニエール病に対する手術治療
―内リンパ嚢高濃度ステロイド挿入術を中心に―
北原 糺三代 康雄久保 武
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 15 巻 1 号 p. 11-15

詳細
抄録

 メニエール病患者の最終的な苦痛が難聴・耳鳴の増悪であることは以前より指摘されているが,この点に留意して当施設では内リンパ嚢開放と同時に嚢内に高濃度ステロイドを留置する術式を考案した(内リンパ嚢高濃度ステロイド挿入術)。2年以上経過を観察できた50例についての検討では,めまい発作完全抑制率は80%と,従来の内リンパ嚢手術と比較してほぼ同等であった。一方で注目すべきは本手術の聴力成績であるが,術後10dB以上の聴力改善率は50%であり,過去の報告に比較して極めて良好であった。この良好な聴力改善成績が本術式の嚢内ステロイド挿入操作に関連するものか否かは議論があるが,実際に本術式の良い対照である内リンパ嚢拡大術と比較してみても有意傾向が認められた。この点に関しては,さらに症例数を集めて長期に検討していく必要がある。

著者関連情報
© 日本頭頸部外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top