2005 年 15 巻 1 号 p. 81-85
耳下腺手術後にfirst bite syndromeを生じた3例を経験した。症状出現までの期間は一定していなかったが3例とも現在まで症状は消失せず疼痛の程度もほとんど変化していない。3例はいずれも耳下腺下極の深葉内もしくはその近傍に腫瘍が存在し手術時に副咽頭腔の処理を行っていなかった。腫瘍摘出の途中で外頸動脈,浅側頭動脈や下顎後静脈が露出されていたが,1例を除いてはそれら脈管は結紮されていなかった。このことから外頸動脈,浅側頭動脈や下顎後静脈の露出が予測される耳下腺深葉腫瘍手術においても術前の患者説明の項目にfirst bite syndromeを含める必要があると考えられた。