頭頸部外科
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低侵襲甲状腺手術としての結節核出術
岸本 曜庄司 和彦池上 聰鈴木 慎二高橋 淳人児嶋 剛
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2005 年 15 巻 1 号 p. 87-91

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抄録

 最近われわれは良性甲状腺結節に対し,侵襲を最小限に抑え,かつ,目立たない手術瘢痕とするため核出術を積極的に行っている。核出術は局所麻酔下に可能であり,前頸筋の切断,絹糸による結紮止血やドレーン留置を要さず,甲状腺半切に比べて明らかに侵襲が少ないだけでなく反回神経麻痺などの術後合併症のリスクも全くない。更に切開の長さを結節の長径程度に短くすることと下極の結節に対しては外側に皮切を置き,上極の結節には高位正中よりの皮切とすることで手術瘢痕は全くめだたなくなる。2002年12月から2003年11月の12ヶ月間に20例に核出術を行ったが,手術時間,術中出血量,皮切長の平均はそれぞれ30.6分,5.7g,35.4mmと満足のいく結果であった。今後術式を更に洗練することにより,より低侵襲に行うことが可能であり良性甲状腺結節の手術には核出術が第一選択となると考えられる。

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