抄録
平滑筋腫は主に婦人生殖器などにみられる良性腫瘍で鼻腔に発生することは稀である。我々は鼻中隔より発生した平滑筋腫を経験したので報告する。症例は57歳男性,右鼻閉を主訴に受診した。腫瘍は鼻中隔後上方に基部を有していた。内視鏡下に腫瘍基部を合併切除し,腫瘍を一塊として摘出した。術後6カ月を経過した時点で再発を認めていない。腫瘍の基部は鼻中隔のかなり後上方であり,外来での基部の確認は不可能であったが,術中,内視鏡を用いることにより基部の確認が可能であった。内視鏡手術は腫瘍の基部が確認できれば適応であると考えられた。また,確定診断にはa-smoothmuscleactin(以下αSMA)染色を用いた特異的免疫染色が有用であった。