頭頸部外科
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15 巻, 2 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 鬼塚 哲郎, 海老原 充, 岡村 純
    2005 年15 巻2 号 p. 103-107
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     46歳,男性。後頭部皮膚から生じ,後頭骨~ 硬膜浸潤まできたした巨大な扁平上皮癌を経験した。当院皮膚科医の,腫瘍を減量し残存腫瘍に対しての放射線治療が奏功すれば術後2年以上の余命が見込める可能性があるとの意見を取り入れ手術,再建術,放射線治療を行った。術後1年5ヶ月にわたり腫瘍消失しquality of lifeが維持されている。皮膚科領域では扁平上皮癌は有棘細胞癌と呼ばれ,頭頸部管腔臓器の扁平上皮癌より転移をきたしにくい扁平上皮癌であること,皮膚科,頭頸科,脳外科,放射線治療科,形成外科,口腔外科で早期にチームを組み治療にあたったことがよい結果につながったと考えられた。
  • 大前 麻理子, 南野 雅之, 辻 裕之, 永田 基樹, 湯川 尚哉, 川上 勝弘, 久徳 茂雄, 山下 敏夫
    2005 年15 巻2 号 p. 109-112
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     腎細胞癌は原発巣の治療後長期間を経て,全身のあらゆる部位に転移することがある。今回われわれは腎癌手術後3年を経過して節骨洞に転移した症例を経験したので報告する。症例は64歳男性,左鼻出血を主訴に紹介となる。初診時左鼻腔内に易出血性の赤色腫瘤を認めた。組織診にて腎細胞癌と診断された。腫瘍は節骨洞の天蓋に達しており画像上硬膜への浸潤も疑われた。腎細胞癌の術後治療としては,インターフェロンの補助療法が主体である。しかし,転移巣に関してはその奏効率は低く,可能ならば全摘出が主体である。そこで,前頭開頭による前頭蓋底手術により節骨洞に転移した腎細胞癌を一塊として摘出した。
  • 橋本 大, 岩江 信法, 魚住 真樹, 田中 博紀
    2005 年15 巻2 号 p. 113-117
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
     顔面神経本幹に絞扼されたダンベル型耳下腺腫瘍を経験したので報告する。症例は66歳の女性で,6年来の左耳下部の腫瘤を主訴に当科を紹介受診した。CT,MRI上,耳下腺深葉に45mm大,副咽頭に60mm大の連続した腫瘤を認めた。2002年5月に摘出手術をおこなった。腫瘍は下顎枝,外耳道,顔面神経本幹からなる間隙により絞扼をうけダンベル型を呈しており,腫瘍を健常部から遊離したものの絞扼部から引き抜けなかった。顔面神経本幹の切断を避けるため,やむを得ず腫瘍を絞扼部で深葉側と副咽頭側に分割して摘出した。病理組織学的診断は多型腺腫であった。術後一過1生に顔面神経不全麻痺を認めたが,約3週間で回復した。
  • 澤津橋 基広, 鷲崎 政治, 米満 伸久, 柿添 亜矢, 百田 統洋, 織田 正道
    2005 年15 巻2 号 p. 119-123
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     頭頸部腫瘍の中で,鼻腔内に発生する多形腺腫は稀な疾患である。今回我々は内視鏡下鼻腔腫瘍摘出術を行い,経過良好な鼻中隔多形腺腫を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。症例は77歳男性。繰り返す鼻出血を主訴に近医耳鼻咽喉科クリニックより当院紹介受診した。鼻鏡及び鼻腔内視鏡検査で,右鼻腔に2cm×2cm程度の表面平滑で,触診上弾性硬のポリープを認めた。ポリープは鼻中隔から発生しており,粘膜血管が豊富で,接触により比較的容易に出血した。肉眼上,正常粘膜との境界は明瞭であった。造影CT検査では,右鼻腔内前方に内部が淡く造影される腫瘤が認められ,骨破壊の所見は認めなかった。以上の所見より,鼻中隔に発生した良性腫瘍を疑い,平成16年2月12日,局麻下に内視鏡下鼻腔内腫瘍切除術を施行した。術中所見上,鼻中隔軟骨への浸潤所見は認めなかったため,鼻中隔軟骨は温存した。確定診断は切除標本による病理組織検査にて得られた。易出血性弾性硬鼻腔内腫瘤の鑑別として多形腺腫も考慮する必要がある。手術は腫瘤断端の確認が可能であれば内視鏡下鼻腔手術が有用である。
  • 山口 威, 関根 大喜, 遠藤 壮平, 木田 亮紀
    2005 年15 巻2 号 p. 125-128
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     鼻腔に発生する非上皮性腫瘍の中で神経原性腫瘍は比較的稀である。症例は30歳女性で,反復する鼻出血を主訴に受診し,各種の画像検査で鼻腔血管腫が疑われた。DSA下に塞栓術を施行し,外側鼻切開で腫瘍を摘出した。病理組織診断は神経節細胞腫であった。神経節細胞腫は神経節芽細胞腫や神経芽細胞腫と同様の交感神経系由来の腫瘍であり,その中で最も分化度が高いものが神経節細胞腫で良性である。
  • 岸野 毅日人, 唐木 將行, 森 望
    2005 年15 巻2 号 p. 129-133
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     平滑筋腫は主に婦人生殖器などにみられる良性腫瘍で鼻腔に発生することは稀である。我々は鼻中隔より発生した平滑筋腫を経験したので報告する。症例は57歳男性,右鼻閉を主訴に受診した。腫瘍は鼻中隔後上方に基部を有していた。内視鏡下に腫瘍基部を合併切除し,腫瘍を一塊として摘出した。術後6カ月を経過した時点で再発を認めていない。腫瘍の基部は鼻中隔のかなり後上方であり,外来での基部の確認は不可能であったが,術中,内視鏡を用いることにより基部の確認が可能であった。内視鏡手術は腫瘍の基部が確認できれば適応であると考えられた。また,確定診断にはa-smoothmuscleactin(以下αSMA)染色を用いた特異的免疫染色が有用であった。
  • 長谷川 恭子, 横島 一彦, 中溝 宗永, 粉川 隆行, 島田 健一, 八木 聰明
    2005 年15 巻2 号 p. 135-137
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     妊娠中に悪性腫瘍が発症する頻度は,頭頸部領域ではまれで,過去における報告もわずかである。今回我々は妊娠中に発症した喉頭粘表皮癌の1症例を経験したので報告する。症例は,33歳女性。妊娠15週に強く咳き込んだ際に腫瘍片が喀出されたため,当科を受診した。声門下後壁に隆起性腫瘍を認めた。喀出片の病理診断から喉頭癌TINOと診断し,妊娠22週に喉頭戯開術により腫瘍を摘出した。最終病理診断は粘表皮癌であった。術後経過は順調で,現在,母子共に健康である。妊娠合併悪1生腫瘍の治療上の問題点について考察した。
  • 中島 崇博, 君付 隆, 春田 厚
    2005 年15 巻2 号 p. 139-143
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     結核性中耳炎の3症例を報告する。1978年から2001年の間に宮崎大学あるいは関連病院の耳鼻咽喉科にて経験した男性2例,女性1例で,いずれも初診時は急性化膿性中耳炎の診断にて治療開始され,臨床経過から結核性中耳炎が疑われ確定診断に至った。いくつかの臨床診断基準が報告されているが,早期診断は依然として容易ではなく,通常と異なる臨床経過を見過ごさないことが大切である。本症例のように耳疾患の既往のない急性中耳炎症例では,耳痛を伴わず治療に抵抗する場合,結核性中耳炎の鑑別診断を行う必要があると思われた。
  • 高島 雅之, 小田 真琴, 糸井 あや, 友田 幸一
    2005 年15 巻2 号 p. 145-151
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     我々はENDO CUT,ソフト凝固の2つの機能を有した高周波手術装置であるICC200を用いてアデノイド手術を施行した。ENDO CUTのハンドピースは従来からあるBeckmann式のアデノトームに類似したものを作成した。8例に行った結果,Beckmann式に比べ出血量の減少と,アデノイド切除にかかる手術時間の短縮をみた。手技的に従来の方法と同様であるため鼻中隔後端付近のアデノイドは残存しやすく,これは鉗子による鉗除が必要となる。ここからの出血はソフト凝固が有用で十分な止血が可能であった。ENDO CUT切除後の断端からにじみ出る出血に対してもソフト凝固は効果的であった。
  • 本間 明宏, 鈴木 章之, 佐伯 昌彦, 福田 諭
    2005 年15 巻2 号 p. 153-157
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     上顎全摘術は,正確に骨切り線を設定した後,腫瘍を含めた上顎骨を一塊切除するのが重要であるが,今回手術ナビゲーションを上顎全摘術の際に使用した。ナビゲーションは解剖学的位置をリアルタイムに確認しながら骨切り線を決めることができ有用であり,特に頬骨,上内側の前頭突起,眼窩下壁の切除ラインの設定,翼状突起にノミを入れる際の位置と方向の決定には有用であった。ナビゲーションは上顎全摘術を行う際に必要な3次元的な解剖の理解と腫瘍の局在に合わせた切除範囲の設定に補助的な役割を果たすものとして有用性は高く,また安全性を確保した上で切除範囲を縮小できる可能性もあるものと考えられた。
  • 山本 裕, 高橋 姿
    2005 年15 巻2 号 p. 159-163
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     耳小骨形成術のうち頻用されるIII型, IV型の施行上のコツについて概説する。耳小骨形成術に先駆け,まず病変の完全な制御と中耳腔の含気化対策を十分講じた上で,鼓膜と耳小骨の距離と立体的な位置関係をくわしく把握する必要がある。再建材料の加工にあたっては,III型では3から4mm,IV型では6から7mmが材料の長さの目安となる。また特にIV型では挿置する材料のアライメントを意識する必要がある。再建材料の挿置の際には,内耳障害,顔面神経損傷が生じないように十分留意しつつ,材料の可動性,安定性を考慮した最適な挿置位置を症例ごとに決定することが重要である。
  • 木村 洋, 古瀬 秀和, 岡崎 慎一, 鈴木 祐輔
    2005 年15 巻2 号 p. 165-168
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     口蓋扁桃摘出術は,耳鼻咽喉科医にとって最も基本的な手術の一つである。しかし,技術習得の面から考えると,手術野が口腔内であり,狭い視野の中で術者の肩越しに,あるいは一時手を休めてもらって,術野を覗き込みながら,手術を学んでいるのが実情で,リアルタイムで手術の進行を見ることが出来ない欠点がある。また,研修医の手術を指導・チェックする場合でも,逆に指導医はその詳細を知ることが出来ず,ストレスを感じる事も多く経験する。今回我々は多くの病院に導入されている副鼻腔手術用内視鏡を用いて,直接術野をモニターに写し,簡便で研修医教育や技術指導に役立てる工夫を行ったので,その実際と利点・欠点等について報告した。
  • 内藤 泰, 遠藤 剛
    2005 年15 巻2 号 p. 169-173
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
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