抄録
耳小骨形成術のうち頻用されるIII型, IV型の施行上のコツについて概説する。耳小骨形成術に先駆け,まず病変の完全な制御と中耳腔の含気化対策を十分講じた上で,鼓膜と耳小骨の距離と立体的な位置関係をくわしく把握する必要がある。再建材料の加工にあたっては,III型では3から4mm,IV型では6から7mmが材料の長さの目安となる。また特にIV型では挿置する材料のアライメントを意識する必要がある。再建材料の挿置の際には,内耳障害,顔面神経損傷が生じないように十分留意しつつ,材料の可動性,安定性を考慮した最適な挿置位置を症例ごとに決定することが重要である。