抄録
舌根癌の切除アプローチ法と術後嚥下機能について検討を行った。対象は1993年から2006年に切除と再建を行った23例で,男性18名,女性5名(平均年齢56.7歳)であり,T1:4例,T2:3例,T3:6例,T4:10例であった。全てのT1・T2症例と3例のT3症例で喉頭温存が成された。T1症例に対して舌骨上アプローチによる切除を行い,一次縫合が可能だった。術後機能は良好であり,早期の症例に対して有用と考えられた。より進行した症例には下顎離断法やPull-through法による切除が行われ,遊離皮弁での再建が必要だった。喉頭温存の可否は喉頭蓋の切除範囲に因り,喉頭蓋全摘例での温存は困難であった。