2007 年 17 巻 2 号 p. 99-104
神経鞘腫は副咽頭間隙腫瘍のなかで最も多い腫瘍である。この腫瘍はゆっくりと発育する良性腫瘍である。通常は原発神経の麻痺症状は無いが,脳神経麻痺を併発する例もある。 副咽頭間隙は解剖学的に複雑な構造をしているため,神経を保存して腫瘍を摘出することは難しい。 近年,MRIにより副咽頭間隙腫瘍の存在や,腫瘍の周囲への進展度あるいはその周囲との関係などの情報を得ることができるようになった。そのため副咽頭間隙への最善のアプローチはMRIを利用して決定すべきである。また,患者に対しては手術合併症が高い事,とりわけ脳神経の永久麻痺の可能性については十分に説明すべきである。