頭頸部外科
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17 巻, 2 号
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  • 橋本 省
    2007 年 17 巻 2 号 p. 91-92
    発行日: 2007/10/31
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
  • 井上 泰宏, 小川 郁, 齋藤 秀行, 神崎 仁
    2007 年 17 巻 2 号 p. 93-98
    発行日: 2007/10/31
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
     過去15年間に経験した側頭骨内顔面神経鞘腫20例を検討し,その取扱い方について考察した結果,以下の結論を得た。1)顔面神経麻痺がないか軽度の症例に対しては腫瘍摘出術を行なわず,経過観察することが望ましい。2)麻痺が急激に出現もしくは進行した症例には,ステロイドホルモンの投与や顔面神経減荷術を行う。治療後も中等度以上の麻痺が持続する場合には神経切断を伴う腫瘍摘出術後早期に神経移植を考慮する。3)原則として,腫瘍の亜全摘術は行なわない。4)大錐体神経由来の腫瘍は顔面神経麻痺を生ぜずに全摘可能であるが,涙の分泌障害等が明らかでない症例もあり,術前の検討を充分に行なう必要がある。
  • 高橋 光明
    2007 年 17 巻 2 号 p. 99-104
    発行日: 2007/10/31
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     神経鞘腫は副咽頭間隙腫瘍のなかで最も多い腫瘍である。この腫瘍はゆっくりと発育する良性腫瘍である。通常は原発神経の麻痺症状は無いが,脳神経麻痺を併発する例もある。 副咽頭間隙は解剖学的に複雑な構造をしているため,神経を保存して腫瘍を摘出することは難しい。 近年,MRIにより副咽頭間隙腫瘍の存在や,腫瘍の周囲への進展度あるいはその周囲との関係などの情報を得ることができるようになった。そのため副咽頭間隙への最善のアプローチはMRIを利用して決定すべきである。また,患者に対しては手術合併症が高い事,とりわけ脳神経の永久麻痺の可能性については十分に説明すべきである。
  • 古川 まどか, 古川 政樹, 久保田 彰, 花村 英明
    2007 年 17 巻 2 号 p. 105-112
    発行日: 2007/10/31
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     頸部神経鞘腫は安易な摘出によって重篤な神経脱落症状を呈する。頸部神経鞘腫の術前診断と神経機能を温存する術式について自験例の成績を検討した。過去11年間に手術を施行した頸部神経鞘腫症例13例を対象とした。画像診断では,腫瘍の端が紡錘状になる形態と,腫瘍が存在する深さ,頸動脈,内頸静脈との位置関係によって診断可能で,US,MRIが有用であった。さらに,USで索状物の走行を観察し,USで描出できる迷走神経との位置関係を見ることで由来神経を推定できた。神経機能を温存する手術方法として,神経刺激モニタ下に被膜問摘出術,被膜下摘出術を行うことで,運動神経機能の温存が可能であった。
  • ―文献的考察―
    片岡 真吾, 川内 秀之
    2007 年 17 巻 2 号 p. 113-117
    発行日: 2007/10/31
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     神経鞘腫は良性腫瘍であるが,稀に悪性化するとの理由で,神経とともに完全摘出される例が報告されている。しかし,われわれが検索しえた限りでは,神経鞘腫が悪性化した例についての報告例は現在まで29例であった。その中で頸部に発生した例は10例であり極めて稀であった。この結果,神経鞘腫の治療は,臨床経過を考慮したうえで,神経機能を温存し腫瘍を完全摘出する術式(被膜間摘出術)が妥当であると考えられた。
  • 中井 茂, 辻川 敬裕, 斉藤 敦志, 吉本 公一郎, 池淵 嘉一郎, 松井 雅裕, 中野 宏, 島田 剛敏, 久 育男, 藤原 貴史
    2007 年 17 巻 2 号 p. 119-126
    発行日: 2007/10/31
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
     幼児の頬部横紋筋肉腫例に対し,腫瘍切除後に遊離組織移植を行った1例を報告する。症例は2歳女児。化学療法と放射線治療の後,残存腫瘍に対し摘出術を行った。右頬部に生じた広範な皮膚・皮下組織の欠損は,遊離肩甲皮弁にて再建した。皮弁の栄養血管は右顔面動静脈と吻合したが,血管径は吻合手技に際して共に十分な口径であった。皮弁の生着を重視し創部安静を得るため術後7日間鎮静を行ったが,気管挿管のため声門浮腫が生じ術後14日目まで抜管が行えなかった。皮弁は良好に生着したが,術後の創部安静法には再考が必要と思われた。遊離組織皮弁の選択は,採取部の障害が患児の成長に大きな影響を与えないよう考慮すべきと考える。
  • 昼間 清, 三橋 敏雄, 沼田 勉
    2007 年 17 巻 2 号 p. 127-132
    発行日: 2007/10/31
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     左頸動脈浸潤を来たした甲状腺癌症例に頸動脈の切除再建を行った。術前に患側の頬骨弓上にバーホールを開け,経頭蓋骨的超音波ドプラ法の音響窓として,頸動脈遮断試験を行った。側副血行は良好であったが,hemodynamicな観点から再建を行った。甲状腺全摘,喉頭全摘,咽頭部分切除両頸部郭清術,左総頸内頸動脈合併切除を行い,さらに大伏在静脈グラフトを用いた右外頸―左内頸動脈バイパス術を施行した。脳血流監視装置(INVOS4100)は血行状態をリアルタイムに評価でき,有用であった。患者は片麻痺などの重大な中枢神経障害を起こすことなく,現在まで再発転移なく経過している。
  • 山下 拓, 冨田 俊樹, 新田 清一, 南 修司郎, 小倉 真理子, 向井 萬起男
    2007 年 17 巻 2 号 p. 133-138
    発行日: 2007/10/31
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     鼻副鼻腔に生じる転移性腫瘍の頻度は低く,また手術による予後改善が期待できないことが多いため手術適応となる頻度はさらに低い。今回,腎細胞癌に対し根治的左腎全摘出術を施行後8年の経過で右前筋骨洞に転移した症例に対し,根治を目的として転移巣摘出を施行した症例を経験した。症例は67歳男性。MRI上,右前節骨洞を中心に右前節骨洞天蓋への浸潤,右眼窩内側壁紙様板の破壊を伴う腫瘍性病変を認めた。同部位の転移巣に対して2度摘出術が施行された後の再発に対する手術であったため,完全切除可能なアプローチとして頭蓋内外からの複合アプローチでの前頭蓋底手術を選択した。術後1年6ヶ月経過し再発なく経過良好である。
  • 昼間 清, 笹村 佳美, 根本 哲生, 三橋 敏雄, 堅田 浩司, 森川 文
    2007 年 17 巻 2 号 p. 139-146
    発行日: 2007/10/31
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     喉頭軟骨肉腫は非常に稀な疾患で,喉頭原発悪性腫瘍の1%以下の頻度であると言われる。今回,経過の異なる2症例を経験したので報告する。症例1は62歳,女性。咽喉頭異常感のため精査を行い,左声門下に境界明瞭な腫瘤を認めた。喉頭直達鏡下生検にて,軟骨肉腫grade IIと診断された。症例2は67歳,男性。12年前に声門下後部の軟骨腫の摘出を行うが,放置していた。呼吸困難にて受診,気管切開を施行され,喉頭直達鏡下生検にて,軟骨肉腫grade IIと診断された。喉頭軟骨肉腫の術式としては喉頭を温存したままの腫瘍摘出や部分切除もあるが,2症例とも反回神経麻痺を伴い,輪状軟骨の広範な破壊があったため,喉頭全摘術を施行した。
  • 中出 多子, 岩井 大, 河本 光平, 中江 香, 泉川 雅彦, 八木 正夫, 小西 将矢, 大前 麻理子, 四方 伸明, 山下 敏夫
    2007 年 17 巻 2 号 p. 147-152
    発行日: 2007/10/31
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     腎透析患者に続発性副甲状腺機能亢進症を来たすことが知られている。その病理組織は過形成とされるが,今回我々は透析患者に発症した副甲状腺機能亢進症で,副甲状腺4腺とも腺腫であった症例を経験した。 症例は腎不全により血液透析を受けていたが,内科的治療に抵抗性の高Ca・P血症とintact-PTHの上昇を示し,また超音波検査で副甲状腺腫大が認められたため,続発性副甲状腺機能亢進症と診断され,手術加療目的に当科へ紹介された。手術で摘出された副甲状腺はいずれも永久病理で腺腫であり,3次性副甲状腺機能亢進症と考えた。移植先での腫瘍性増殖を避けるため,一般に行われる副甲状腺の前腕への移植は行われなかったが,今後こうした症例における手術法の検討が必要と考えた。
  • 増田 聖子, 湯本 英二
    2007 年 17 巻 2 号 p. 153-156
    発行日: 2007/10/31
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     外耳道骨形成過程における骨癒合不全(Huschkeの孔)が原因と考えられた外耳道前壁骨欠損の1例を経験し,手術を行い良好な結果を得たので報告する。61歳男性。主訴は左耳閉感及び耳痛であり,耳鏡検査で咬合時に顎関節が外耳道に突出する所見を認めた。外傷や外耳道炎の既往はなく,外耳道皮膚所見は正常であり,CTで外耳道前壁骨欠損が確認された。 手術は局所麻酔下に行った。耳内から耳前部にかけて皮膚切開を行い,外耳道前壁骨を露出させた。骨欠損部を確認し,顎関節と外耳道皮膚の間に耳珠軟骨切片を置いた。術後外耳道狭窄はみられず,疼痛も消失した。
  • 村下 秀和, 加藤 修, 米納 昌恵, 田渕 経司, 原 晃
    2007 年 17 巻 2 号 p. 157-160
    発行日: 2007/10/31
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     比較的稀な耳下腺結核の症例を報告した。症例は65歳の女性で,主訴は左耳前部腫瘤であった。軽度の圧痛を認める以外は皮膚の発赤や,顔面神経麻痺は認めなかった。術前の画像診断では耳下腺腫瘍が疑われ,超音波断層下での穿刺吸引細胞診ではClass IIであった。穿刺後皮膚の発赤を認めたため,悪性腫瘍も疑い耳下腺部分切除および発赤皮膚の合併切除を施行した。病理診断にて耳下腺結核と診断された。近年結核は再興感染症として注目されており,耳下腺結核ではその臨床症状から悪性腫瘍との鑑別が困難な場合もあり,頭頸部領域でも常に考慮すべき疾患の一つと考えた。
  • 西屋 圭子, 海山 智九, 奥野 敬一郎
    2007 年 17 巻 2 号 p. 161-165
    発行日: 2007/10/31
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     形質細胞腫は形質細胞が腫瘍性に単クローン性増殖する疾患である。骨髄以外に発症したものは髄外性形質細胞腫と呼ばれ,その多くが鼻,副鼻腔領域に発生する。今回,われわれは顎下部に原発した髄外性形質細胞腫の1例を経験したので報告する。 症例は77歳,男性。顎下部腫脹で初診した。CTで同部位に境界明瞭な軟部組織腫瘤を認めた。穿刺細胞診はclass II bであった。診断と治療をかねて摘出手術を行い,病理組織学的検査にて形質細胞腫と診断された。血液内科において全身精査を行い,骨髄を含め他に異常を認めなかったため髄外性形質細胞腫と確定診断した。当科と血液内科で経過観察中であるが,今のところ新たな異常所見は認めていない。
  • 中野 宏, 吉本 公一郎, 池淵 嘉一郎, 松井 雅裕, 島田 剛敏, 馬場 均, 中井 茂, 久 育男
    2007 年 17 巻 2 号 p. 167-171
    発行日: 2007/10/31
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     当科で経験した深頸部膿瘍症例31例について検討した。糖尿病合併例では炎症が遷延する傾向があり,厳重な全身管理が必要と考えられた。縦隔進展例5例では入院期間が長くなっており,縦隔への進展を予防することが重要であり,縦隔への進展経路である気管前間隙,傍血管間隙,椎前間隙は開放すべきと考える。過去の報告例および自験例から,診断には頸部・胸部CTが必須であり,本疾患と診断されれば迅速に外科的ドレナージを行うべきである。縦隔進展例には胸腔鏡下縦隔ドレナージも躊躇せず行うべきと考える。術後の喉頭浮腫に対する気道確保・呼吸管理を考慮すると気管切開術は併施しておくことが安全である。
  • 伊藤 伸, 松本 文彦, 大峡 慎一, 小室 祐造, 新井 一, 池田 勝久
    2007 年 17 巻 2 号 p. 173-177
    発行日: 2007/10/31
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     Dismasking flapは頭蓋底腫瘍へのアプローチ法として高い有用性が知られている。我々は,再発頭蓋底腫瘍に対し2回目のdismasking flapを用いて切除が可能であった症例を経験したので報告する。症例は51歳男性。平成15年に当院脳外科にて1度目のdismasking flapによるアプローチで頭蓋底腫瘍切除頭蓋底再建術が施行された。平成18年7月に,局所再発と頸部リンパ節転移を認め当科にて2度目のdismasking flapとmidfacial deglovingの併用で,頭蓋底病変ヘアプローチし腫瘍切除が可能であった。同アプローチ法は,機能温存と術野の確保に優れており,今後の更なる応用が期待される。
  • 道津 充, 桂 資泰, 岩永 哲, 田中 藤信, 小室 哲, 崎浜 教之, 高橋 晴雄
    2007 年 17 巻 2 号 p. 179-185
    発行日: 2007/10/31
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     頸部食道癌は,消化器外科で取り扱われる場合が多く,耳鼻咽喉科で取り扱う施設は多くはないのが現状である。また,発見時に進行したケースが多く,治療の選択にも困惑する場合が多々ある。今回我々は,頸部食道癌で治療を行った5例を,その治療,経過,治療法の選択などについて,当科での取り扱い,当科でのアプローチ法など検討を加えた。疾患の内訳は,すべて頸部食道癌でその全例に対して外科的治療を行った。
  • 吉本 世一, 川端 一嘉, 三谷 浩樹, 米川 博之, 別府 武, 福島 啓文, 佐々木 徹, 新橋 渉, 酒井 昭博, 塚原 清彰, 折田 ...
    2007 年 17 巻 2 号 p. 187-192
    発行日: 2007/10/31
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     頭頸部外科医の不足を解消するためには研修医を効率的に教育していく必要がある。当科では最初は基本的な手術器具の使用法の習得が重要と考え,メス,電気メス,ハサミ,ペアンなどの器具を確実・安全に使用できるようトレーニングを指導している。また実際の頸部郭清術におけるいくつかの教育的なポイントを述べた。研修医に早くから術者を担当させることで,術前の画像診断の能力を高め,手術手技と術後創部合併症との詳細な関連付けが行われ,また助手として入る手術にも効果的なアシストができるようになると思われる。ひいては頭頸部外科医としての意欲向上につながっていくと考えられるが,そのためには指導医の技量が何より不可欠である。
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