抄録
目的:喉頭全摘出術の術後合併症について検討する。 対象:1998年1月から2006年6月までの間に喉頭全摘出術を施行した45例。 結果:咽頭瘻は9例,うち咽頭皮膚瘻は8例に認められた。そのうち2例で総頸動脈からの出血を来たした。年齢,原疾患,喫煙歴,糖尿病の有無,気管切開や喉頭部分切除術の既往,同時に施行した頸部郭清および甲状腺合併切除の範囲,術前後のアルブミン値,術後ヘモグロビン値については,瘻孔発生率に関連していなかった。 放射線療法単独では瘻孔発生率は上昇しなかったが,化学放射線治療を行った群で有意に瘻孔形成が多かった。 経腸栄養開始日と瘻孔発生率には関連を認めなかったが,瘻孔形成例では在院日数が長くなっていた。 結論:喉頭全摘出術後の咽頭皮膚瘻の予防には局所を観察・評価し,術中・術後管理を行うとともに瘻孔発生時には適切な対応が必要である。