頭頸部外科
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皮膚瘻孔を伴い結核の関与が疑われた腺腫様甲状腺腫の一例
坂本 耕二冨田 俊樹小澤 宏之田川 崇正山口 寛小川 郁
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2007 年 17 巻 3 号 p. 255-259

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抄録
 結核の既往があり皮膚瘻孔を伴った腺腫様甲状腺腫の一例を経験した。症例は72歳男性。主訴は前頸部腫瘤。25年前から主訴を自覚し,5年前から誘因なく滲出液を認めたため,他院受診。頸部リンパ節結核の疑いでイソニアジド(INH)の投与を受けていたが改善なく当院紹介となった。肺・腎結核の既往があったが,前医や当院での各種培養およびPCRでは結核や非定型抗酸菌の陽性所見は得られなかった。瘻孔部に巨大な甲状腺腫瘍を認め,2005年1月瘻孔部皮膚を含め切除。病理は腺腫様甲状腺腫であった。組織所見上明らかな結核病変を認めなかったが陳旧性頸部リンパ節結核があり,その再燃が瘻孔形成に関与したと考えられた。
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