抄録
近年,全身諸臓器にCD4ないしCD8陽性のTリンパ球とIgG4陽性形質細胞の密な浸潤を呈し,膵,胆道系,唾液腺,後腹膜などに線維化を起こすIgG4関連硬化性疾患という概念が提唱されている。 今回,我々は自己免疫性膵炎を合併した慢性硬化性顎下腺炎の一症例を経験したので報告する。症例は77歳男性,両側顎下腺腫大の精査目的に入院となった。両側顎下腺腫張,縦隔リンパ節,膵体尾部の腫脹,血中IgG4値の上昇を認め,自己免疫性膵炎を合併した慢性硬化性顎下腺炎と診断した。 今回,我々が経験した慢性硬化性顎下腺炎は顎下腺組織にIgG4陽性形質細胞が密に浸潤しており,IgG4関連硬化性疾患の部分症であると考えられた。