頭頸部外科
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緊急照射により救命しえた気道狭窄を伴う頸部縦隔MALTリンパ腫の1例
古川 孝俊長瀬 輝顕千田 邦明
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2008 年 18 巻 2 号 p. 169-174

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抄録
 一般にMALTリンパ腫は低悪性で,進展が遅いと言われているが,今回我々は,甲状腺原発のMALTリンパ腫が気道狭窄を生じるまで進展し,緊急照射により救命しえた症例を経験したので報告する。頸部腫脹・気道狭窄音が主訴で当科初診し,CTにて甲状腺両葉の著明腫大を認め,気管は最小径4.1mmにまで狭窄し,狭窄の上下幅は59.0mmに及んでいた。緊急の多分割照射と,その後の回転原体照射にて気道は著明に開大し,窒息を回避できた。甲状腺腫瘍生検にて,MALTリンパ腫の診断となったが,予後良好といわれるMALTリンパ腫でも今回のような生命に関わる事態になることもあり注意を要すると思われた。
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© 日本頭頸部外科学会
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