抄録
内シャント設置の上で頸動脈小体腫瘍の摘出術を施行した症例を報告した。本例では,内シャント設置前には,出血のため手術操作が困難であった。内シャント設置後には,剥離の際の出血量が激減し容易に腫瘍の全摘出が行えた。この内シャント設置という手技は操作も容易で術中に設置できる利点がある。特別な処置無しには出血に悩まされ長時間を手術に要していた症例には,この簡単な内シャント設置は出血量を減少させ,手術時間を短縮させるのに役立つものと思われる。また今まで頸動脈の合併切除を施行しなければならなかった症例の中にも,内シャント設置で頸動脈を温存できる症例が存在する可能性があると思われた。