過去15年間の中咽頭癌と喉頭癌の頸部郭清術の結果を検討し,術式の選択,郭清の範囲,予防的郭清について報告した。まず中咽頭癌での郭清術の成績をもとに根治的あるいは保存的郭清の術式選択の原則を示した。次に病理学的転移陽性例の領域別転移頻度を算出し,その頻度から中咽頭癌側壁型では患側内外深頸,健側上内深頸領域,前壁型では両内深頸領域,声門上部喉頭癌では両内深頸領域,声門癌では患側内深頸,気管傍領域を主として郭清すべきであると考えた。予防的郭清の適応については喉頭癌の病理学的転移頻度を検討し,声門上癌進行例とT2以上の放射線治療後の残存・再発例でその適応があると考えた。