1996 年 6 巻 3 号 p. 189-195
中頭蓋底下面は顔面の深部に位置し,解剖学的にも複雑な形態をしているため,外科的アプローチの困難な領域である。我々は前方からアプローチし,顔面の皮切の後,顔面骨を鼻骨,上顎口蓋骨および頬骨に3分割し,いずれも軟部組織を付け有茎のままとし血流を温存しながら展開する術式を行ってきた。これにより顔面に瘢痕は形成するものの,術野の十分な確保と,術後の形態,機能の温存が可能であった。 この術式を紹介し症例を呈示すると共に,他のアプローチ法すなわち前方からの経口腔的,経下顎的アプローチおよび側方からのアプローチとの比較検討を行った。