頭頸部外科
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下咽頭癌手術における上皮小体移植術
遠藤 壮平木田 亮紀田中 正美濱田 敬永酒井 文隆鈴木 伸野口 雄五
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1996 年 6 巻 3 号 p. 197-201

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抄録

 進行下咽頭癌(PS;T4 N2 M0;Stage IV)に対してシスプラチンと5FU併用の照射療法の後に咽喉食摘,両頸部郭清術,遊離空腸による咽頭食道再建術を施行した。手術に際して甲状腺全摘も施行し,切除検体より上皮小体を探しだして前腕筋膜下に自家移植した。移植に先立ち,剥離した上皮小体は迅速病理検査にて,上皮小体であること,癌転移を認めないことを確認した。術後,暫くカルシウム製剤を投与したが,両肘窩からの静脈血サンプルよりM-PTHを測定し,移植片が生着したことを確認した。患者は現在,甲状腺剤のみの処方にて血清カルシウム値は正常であり,無病生存中である。現在までに同様の移植を6例に施行し,良好な結果を得ている。

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© 日本頭頸部外科学会
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