抄録
中咽頭側壁および軟口蓋の再建では,構音・嚥下機能の障害を最小限にとどめることが重要である。われわれは1977年から1995年までの期間に手術を行った84症例の術後機能について検討した。その結果,切除範囲の大小によって術後機能に差があること,1990年以降に手術した症例の術後機能はそれ以前の症例よりも良いこと,遊離皮弁を用いた症例の方が有茎皮弁にくらべて術後機能が良いことがわかった。術後機能を良くするためには,鼻咽腔閉鎖能を保ち,舌の可動性を損なわないような再建を心がける必要がある。現時点では,われわれは側壁の再建には腹直筋皮弁を第一選択にしている。