園芸学会雑誌
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原著論文(英文)
新しいパラメーター「シャープネス指標」によるカキの肉質評価
桜井 直樹岩谷 真一郎寺崎 章二山本 良一
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2005 年 74 巻 2 号 p. 150-158

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抄録

異なる相対湿度 (40, 60または100%) で保存されたカキの肉質を評価するために, 音響学的方法 (AMC), レーザードップラー法 (LDV), および食味試験を行った. 先端を尖らせたビス (プローブ) をカキ果肉に挿入し, 10 kHzまでの音響的振動をプローブの基部に貼り付けたピエゾ素子で測定した. 信号は高速フーリエ変換し周波数スペクトルを得た. 肉質を評価するパラメーター「シャープネス指標」をヒトの聴覚を補正するために高周波成分の強度を補正し, 信号強度を積算して計算した. 相対湿度100%で保存されたカキの「シャープネス指標」は食味試験の3個の評価値, すなわち, なめらか, 硬さ, シャキシャキ感と有意な相関があった. AMCのスペクトルデータを部分最小自乗法 (PLS) で処理すると, AMCのデータで60%と100%の湿度で保存されたカキの食味値を説明することができたが, 40%で保存されたカキの食味値は説明できなかった. カキの硬度測定するために使用されたLDVのスペクトルデータを用いてPLSを行うと, 60%と100%の食味値が説明できたことから, 高湿度条件で保存されたカキの肉質は非破壊法で測定できる可能性が示唆された.

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© 2005 園芸学会
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