園芸学会雑誌
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原著論文(英文)
台木品種がキュウリ穂木のうどんこ病抵抗性に及ぼす影響
坂田 好輝杉山 充啓小原 隆由森下 昌三
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2006 年 75 巻 2 号 p. 135-140

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抄録

台木品種がキュウリ穂木のうどんこ病抵抗性に及ぼす影響を明らかにするため,台木用品種そのもののうどんこ病抵抗性,また,抵抗性のレベルの異なる台木品種に接ぎ木されたキュウリ穂木の抵抗性について評価した.近年発表されたブルームレス台木‘ときわパワー Z’および‘ホワイトパワー’は,子葉から第 10 本葉に至るまで,20℃程度の冷温から 26℃,加温ハウスレベルの適温条件まで,高いレベルのうどんこ病抵抗性を示した.PPMR-1 は,成育が進むにつれ,高度な抵抗性を示した.従来から利用されているブルームレス台木‘ひかりパワー G’及びブルーム台木の‘新土佐’は罹病性であり,‘ひかりパワー G’はより激しく罹病した.うどんこ病抵抗性が異なる台木を用いた場合にも接ぎ木されたキュウリ穂木の子葉の抵抗性には有意な差異はなく,幼苗期においては台木品種が抵抗性に及ぼす影響はないまたは小さいと考えられた.一方,接ぎ木キュウリの成育に伴い,PPMR-1 あるいは‘新土佐’に接ぎ木された穂木(第 5 本葉,あるいは 17 本葉)は,うどんこ病に対して抵抗性あるいは耐性を増した.うどんこ病に高度な抵抗性を有する‘ときわパワー Z’および‘ホワイトパワー’を台木に用いた場合には,キュウリ穂木が抵抗性になることはなかった.ブルームレス台木の‘ひかりパワー G’は穂木の抵抗性を弱めた.これらの結果から,台木品種は穂木のうどんこ病に対する抵抗性または耐性を変え,PPMR-1 のような抵抗性または耐性を付与することのできるカボチャ台木品種を利用することにより,うどんこ病被害を軽減できることが示唆された.

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