抄録
キュウリ果実のテクスチャーに及ぼす台木品種と果実貯蔵の影響を明らかにするため,果肉,胎座および果皮の硬度とパリパリ感を表す値である Crispness Index を調査した.供試材料には,自根のキュウリ果実と 3 種類の台木品種(ブルームレス台木‘ひかりパワーゴールド’および‘キング輝虎’,ブルーム台木‘新土佐’)に接ぎ木したキュウリ果実を用い,温度(10℃,25℃)と期間(0~7 日間)を変えて,ポリエチレン袋に密閉した保湿条件下で果実を貯蔵した.新鮮果実の場合,台木品種や接ぎ木の有無が果実の物性に及ぼす明瞭な影響は認められなかった.一方,保湿条件下での 10℃あるいは 25℃の貯蔵により,全ての接ぎ木キュウリと自根キュウリ果実における果肉硬度と Crispness Index は上昇した.低温の 10℃貯蔵と高温の 25℃貯蔵における物性値の差異は小さかった.これらの結果から,接ぎ木キュウリのテクスチャーは,台木品種の違いより,むしろ果実貯蔵の有無による影響を受けることが示された.また,少なくとも新鮮果実,あるいは保湿条件下で貯蔵された果実においては,ブルームレスキュウリのテクスチャーはブルームを有するものと比べて劣らなかった.