Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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総説
生け水に添加する殺菌剤の多面的効能
Damunupola Jilushi W.Joyce Daryl C.
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ジャーナル オープンアクセス

2008 年 77 巻 3 号 p. 211-228

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抄録
切り花や葉ものでは,導管閉塞によって生け水の供給が抑制されることで日持ち期間が短くなることが多い.一般的に茎の通水性低下の原因は,茎の切り口や木部導管が微生物や生理的な閉塞によりつまることや,導管内でのキャビテーションや気泡により水柱がとぎれてしまうことにある.生け水に化学物質を添加することで,切り花や葉ものの日持ち性は大きく影響を受ける.生け水に殺菌剤を添加することで多くの植物の日持ち性を延長させることができる.多くの殺菌剤が生け水中の微生物の増殖を抑えると考えられているが,それらの抗菌的作用が他の物理化学的な効果と混同されている場合がある.殺菌剤に対する切断した茎の反応は,切り花の種類によっても,また複雑な微生物群や生け水に含まれる他の成分によっても変わり得る.本総説では,切り花などに商業的にも,また研究にも利用されている後処理用殺菌剤の効果や多面的役割についてまとめた.
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© 2008 園芸学会
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