Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
トサミズキ属植物の花に含まれる黄色色素としてのカルコン配糖体
岩科 司竹村 知子三塩 環
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 78 巻 4 号 p. 485-490

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抄録
カルコン配糖体が 6 種のトサミズキ属(マンサク科)植物,トサミズキ,ヒュウガミズキ,キリシマミズキ,コウヤミズキ,シナミズキおよびショウコウミズキの花から分離され,UV スペクトル測定,LC-MS,酸加水分解とその生成物の定性,および TLC と HPLC による標品との直接の比較から chalcononaringenin 2'-O-glucoside と同定された.カルコン配糖体に伴って,5 種類のフラボノール配糖体も分離され,上記とほぼ同様の方法によって,それぞれ querctin 3-O-rhamnoside, quercetin 3-O-glucoside, myricetin 3-O-rhamnoside, myricetin 3-O-glucoside および kaempferol 3-O-rhamnoside と同定された.カルコン配糖体はこれまでいくつかの植物,例えば,カーネーション,コレオプシス,コスモス,ダリア,ビデンスなど,の花で黄色色素として報告されている.本研究では,トサミズキ属植物の黄色花もまたカルコン配糖体,chalcononaringenin 2'-O-glucoside,によって発現していることが初めて報告された.しかし,随伴するフラボノール配糖体は黄色色素としてはあまり貢献していないことが示された.
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© 2009 園芸学会
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