2010 年 79 巻 4 号 p. 377-383
生育中の 8 品種 1 系統のブドウ果実の硬度をベレーゾン前から収穫まで音響非破壊法によって経時的に測定した.この測定には,新たに作成した持ち運びが容易な小型振動測定装置を用いた.硬度指標(EI)は第 2 共振周波数2 × 果粒直径2 により算出した.EI はいずれの品種でも触診で定めたベレーゾン日前後で大きく減少した.小型装置は触診ではわからない軟化を検出し,より正確にベレーゾンを定められると思われた.さらに,得られた EI は,ユニバーサル果肉硬度計,テクスチャーアナライザーによる 2 つの貫入試験から得た硬度との比較を行った.その結果,1)非破壊法と貫入試験の両者に直線的関係が得られたグループ,2)果実が硬い時期に非破壊法の方が鋭敏に硬度変化をとらえたグループ,3)果実が柔らかい時期に非破壊法の方が鋭敏に硬度変化をとらえたグループ,の 3 つに分類された.これらの違いは,果肉硬度の軟化様式の違いに起因すると考えられた.