Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
アスパラガスカルスのアレロパシー活性を評価するための無菌的生物検定系の開発
渡部 泰希岩井 純夫尾野 喜孝平舘 俊太郎藤井 義晴駒井 史訓
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 80 巻 1 号 p. 82-88

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抄録
アスパラガスカルスのアレロパシー活性を評価するための無菌的生物検定系を開発した.カルスを用いたサンドイッチ法でアレロパシー活性を検定したところ,カルスの packed cell volume(PCV)が 0.1 mL を超えると検定植物の生長は大きく阻害された.同手法を用いて 0.2 mL PCV のカルスを雌雄別に検定した結果,アレロパシー活性には,雌雄間差異が認められなかった.さらに詳細にアレロパシー活性を検出するために,プラントボックス法をカルスを用いた手法に改良して検定を行った結果,カルス PCV が 0.35 mL を超えると検定植物の生長は著しく阻害された.この生物検定系において,Light-emitting diodes(LEDs)による照射を行ったカルスを利用して検定を行うと,アレロパシー活性が促進されることが明らかとなり,光質によって活性の程度に差があることが推察された.カルスへ青色 LED による照射を行うと赤色 LED よりも強いアレロパシー活性が得られたことから,今後,本検定方法を活用することにより,種々の条件下におけるアスパラガスのアレロパシー活性の測定ならびにアレロパシー物質の単離および同定を再現性よく行うことが可能になるものと考えられた.
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© 2011 園芸学会
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