抄録
トルコギキョウの白色花系統と有色花系統でアントシアニジン合成酵素(ANS)遺伝子のゲノム配列を比較したところ,白色花系統では 94 塩基の欠失が見いだされた.白色花系統と有色花系統を交配し,F2 世代を調査したところ,有色花個体と白色花個体が 24 : 8 と,3 : 1 に分離した.これは,白色花の形質は劣性の 1 遺伝子支配であることを示唆している.また,ANS 遺伝子の 94 塩基欠失のホモ型は白色花の表現型と共分離していた.白色花,黄色花,淡黄色花,淡緑色花の系統を含むトルコギキョウの 14 系統でゲノム PCR によって ANS 遺伝子を調べたところ,全ての系統が 94 塩基の欠失のホモ型だった.これらの結果は,アントシアニンの蓄積の減少による白色花の形質が,ANS 遺伝子の 94 塩基欠失と結びついていることを支持している.