Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
乾物生産量および葉の光合成速度に着目した多収性イチゴ‘紅ほっぺ’の解析
望月 佑哉岩崎 良美船山 瑞穂二宮 伸哉福家 光敏Yin Yin Nwe山田 祐彰荻原 勲
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2013 年 82 巻 1 号 p. 22-29

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抄録

イチゴ品種‘紅ほっぺ’の多収要因を,‘とよのか’および‘さちのか’を対照品種に用い,乾物生産特性,成長解析および個葉の光合成特性から検討した.‘紅ほっぺ’の総乾物重は,対照品種のそれに比べて大きくなったが,収穫指数には相違がなかった.‘紅ほっぺ’の CGR および LAI は,‘とよのか’および‘さちのか’のそれらと比べて大きかった.‘紅ほっぺ’は,出葉する葉が大きくなるため,株全体の葉面積が大きかった.一方,‘紅ほっぺ’の NAR は‘とよのか’のそれに比べて大きかった.NAR は葉の光合成能に影響されるが,‘紅ほっぺ’と‘とよのか’の個葉の光合成速度には相違がなかった.‘紅ほっぺ’は葉柄が長く,直立であるため,株内部への日射量が多くなる特性が NAR に影響していると思われた.従って,‘紅ほっぺ’の多収要因は,収穫指数の増大よりも,乾物量の著しい増加が関係していた.また,乾物量の増加は,LAI が大きいこと,草姿が立性で株内部への日射量が多くなる特性が影響していると考えられた.

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© 2013 園芸学会
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