Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
弾性指標によるピタヤ(Hylocereus undatus)の収穫適期判定における精度向上
文室 政彦櫻井 直樹宇都宮 直樹
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2013 年 82 巻 4 号 p. 354-361

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抄録

本研究は,非破壊の共振法で測定された弾性指標の使用によるピタヤの収穫適期判定における精度向上の可能性を検討した.無加温温室で砂耕ベッドに植栽された 7 年生ピタヤを使用し,7 月受粉果と 9 月受粉果をそれぞれ開花後 20~36 日,20~40 日に 4 日おきに採取した.第 2 共鳴周波数,弾性指標および果肉硬度は,いずれも成熟にともない減少したが,7 月受粉果は 9 月受粉果より減少速度が速かった.両受粉果とも最終収穫期には,それぞれ 330 Hz 前後,60 × 105 前後および約 7 N·cm−2 であった.果皮色の a 値は,7 月受粉果では開花後 24 から 32 日に,9 月受粉果では 28 日から 36 日に急激に増加し,その後はほぼ一定の値であった.全糖含量は,7 月受粉果では開花後 28 日まで急速に増加し,その後漸増したが,9 月受粉果では 7 月受粉果より遅れて増加した.有機酸含量は,7 月受粉果では開花後 28 日まで,9 月受粉果では開花後 36 日まで急速に減少し,その後は徐々に減少した.適期収穫した 9 月受粉果では,第 2 共鳴周波数は果実が大きいほど有意に減少したが,弾性指標は果実の大きさに影響されなかった.両受粉果とも,第 2 共鳴周波数および弾性指標と果肉硬度との間にいずれも高い相関関係がみられた.果肉歩合,果皮色,糖,有機酸,果肉硬度および裂果発生から判断して,7 月受粉果および 9 月受粉果の収穫適期は,開花後 36 日および 40 日であり,収穫適期の弾性指標は,それぞれ 62 × 105 および 73 × 105 であると評価された.本研究から,着果したピタヤ果実の弾性指標を測定することにより,より正確な収穫適期の判定が可能であると考えられる.

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© 2013 by Japanese Society for Horticultural Science
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