Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
ウメ 2 品種の果実軟化過程における 細胞壁多糖類の分解特性
土田 靖久薬師寺 博大江 孝明根来 圭一我藤 伸樹小谷 竜也大西 由里子小畑 貴路田村 基
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2014 年 83 巻 1 号 p. 81-89

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抄録
和歌山県のウメ主要品種‘南高’果実は‘古城’に比べて柔らかい肉質を持っている.そのため,これらの品種の加工適性には違いがある.そこで筆者らは,果肉硬度に影響を与える細胞壁多糖類の分解特性を,これら 2 品種の果実軟化過程において調査した.‘古城’の果肉硬度は未熟期と適熟期の間は変化がなく,適熟期から完熟期の間で低下した.一方‘南高’では未熟期から速やかに低下し,‘古城’に比べて低く推移した.これら 2 品種のペクチンおよびヘミセルロース含量は果実軟化の過程で減少し,さらに分子量は果肉硬度の低下と同調して減少した.このことからウメ果肉の細胞壁中ペクチンとヘミセルロースの崩壊がウメ果実の軟化の原因と考えられた.‘南高’の軟化過程におけるペクチン中の中性糖および酸性糖,ヘミセルロース中の中性糖の減少量は,‘古城’に比べて多かった.さらに‘南高’ではセルロース含量が減少した.以上の結果から,‘南高’は軟化過程で細胞壁のペクチン,ヘミセルロースおよびセルロース量が著しく減少することによって,‘古城’に比べて柔らかい果肉になると考えられた.
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© 2014 by Japanese Society for Horticultural Science
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