Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
ネモフィラ‘インシグニスブルー’の青色花弁およびその変異系統の紫色花弁から単離された花色素
立澤 文見土岐 健次郎大谷 祐子加藤 一幾斎藤 規夫本多 利雄三位 正洋
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2014 年 83 巻 3 号 p. 259-266

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抄録

2 種類の主要アントシアニン(色素 12)が青色花弁のネモフィラ(Nemophila menziesii ‘Insignis blue’)およびその変異系統の紫色花弁から検出された.これら 2 種類のアントシアニンを青色花弁から単離し,化学およびスペクトル分析による構造解析を行った結果,ペチュニジン 3-O-[6-O-(シス-p- クマロイル)-β- グルコピラノシド]-5-O-[6-O-(マロニル)-β- グルコピラノシド](色素 1)とペチュニジン 3-O-[6-O-(トランス-p- クマロイル)-β- グルコピラノシド]-5-O-[6-O-(マロニル)-β- グルコピラノシド](色素 2)であり,色素 1 は新規化合物であった.さらに,2 種類の主要フラボノール配糖体(色素 35)と 2 種類の主要フラボン配糖体(色素 46)も青色花弁から単離され,ケンフェロール 3-(6- ラムノシル)- グルコシド-7- グルコシド(色素 3),アピゲニン 7,4′- ジグルコシド(色素 4),ケンフェロール3-(2,6- ジラムノシル)- グルコシド(色素 5),そしてアピゲニン 7- グルコシド-4′-(6- マロニル)- グルコシド(色素 6)と同定された.これら 4 種類のフラボノイドの内,色素 46 は紫色花弁からは検出されなかったことから,これらの違いにより花色が異なることが示唆された.

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