園芸学会雑誌
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果樹の蕾授粉試驗
淺見 與七
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1940 年 11 巻 1 号 p. 1-12

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抄録
本實驗は果樹に於て交配操作の手數低減の見地より蕾授粉に關し, 柿, 梨,李, 桃に就て行つた。
1. 柿に就ては(使用品種 富有), 蕾授粉の中開花2日前授粉は止り歩合低く, 無核果多く, 有核果の含有種子數も少いが, 開花1日前授粉は止り歩合,有核果歩合, 有核果の含有種子數に就て開花授粉に比して稍々低いが大差はなかつた。開花授粉は開花當日, 1日後, 2日後の3授粉は殆ど同樣の成績を示したが, 開花3日後授粉の成績は稍劣り, 開花5日後は成績著しく不良であつて, 開花2日前の蕾授粉の成績より更に低下した。蕾授粉の種子收量は開花授粉(開花2日後迄の)の收量の, 開花1日乃至2日前の蕾使用の場合は約59%であるが, 開花1日前授粉なれば約83%であつて, 蔬菜の蕾授粉より高率である。
2. 梨に於ては(使用品種 二十世紀), 開花1, 2日前の蕾授粉は開花授粉に比して果實止り歩合は殆ど差がなく, 1果含有種子數は稍ゝ減少した。蕾授粉の種子收量は開花授粉の收量の約91%であつて, 柿の蕾授粉よりも更に高率である。
3. 柿, 梨共に蕾授粉は果實の止りよりも1果の種子數の上に強く影響を與へた。
4. 李に就いてはソルグム種では蕾授粉 (開花1, 2日前) は果實止り歩合低く, 開花授粉の止り歩合の48%弱に過ぎなかつた。然し他品種に於てもソルダム種と同樣であるかどうかは疑がある。
5. 桃に於いては (使用品種 白桃) 一つの實驗では蕾授粉の方が止り歩合開花授粉より著しく高く, 他の實驗では逆に蕾授粉の方が著しく低くかつた。實驗を繰返す必要がある。
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