園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
メロンの葉面積が其の發育器官並に果實に及ぼす影響に就て (第2報)
高木 輝治
著者情報
ジャーナル フリー

1940 年 11 巻 4 号 p. 436-449

詳細
抄録
1. 摘心により副葉を發せしむることにより葉數を30枚以上に増加することが營養器官並に果實の發育に如何なる影響を及ぼすかに就て昭和14年千葉高等園藝學校農場附屬温室に於て實驗觀察する所があつた。
2. 本葉15枚乃至30枚區から發生した副葉は本葉の少ない區程多く萠出し且つ單位面積大であり, 本葉數の多い區は之と反對の傾向を示した。
3. 本葉15枚區乃至30枚區の地上部並に地下部器官の總重量は兩端に於て多少の例外を現した外大なる差異を認めることがなかつた。
4. 果實の發育曲線は15枚區が他區に比し成育の過程に於て稍々勝つて居たが成熟期に至ると他の3區と著しく接近するに至つた。之は早期摘心の直接影響と思はれる。少葉區のネット發現の早化も矢張此種の影響に歸す可きものと思はれる。
5. 果實の諸形質即ち果重, 果面のネット數, 果皮の硬度, 糖分等に就ては各區の間に特に見る可き差異がない樣である。之は葉面積が本實驗の場合の如く一定度以上に達した場合には之を構成する葉が, 本葉と副葉との混合率に於て多少の差があるとしても其の綜合的成果の上に於て大なる差を現し來らないものと思はれる。
6. 結局摘心を行ふことにより副葉を萠出せしめ, 以て葉面積を50枚乃至60枚程度に増加することは前年施行した最大葉面積區即ち30枚區に比し糖分, 果皮の硬度, ネット數, 長さ等に於て何等遜色なき結果を得て居り, 此種の葉面積増加法により優良果實生産の可能性あることを示すものである。
著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top