園芸学会雑誌
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柿の生理的落果に關する研究
III 降雨及乾燥と落果との關係
梶浦 實
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1942 年 13 巻 1 号 p. 1-14

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抄録

1. 降雨状態, 乾燥及その變化と落果との關係を明かにする目的で鉢植を用ひ, 硝子室内で人工的にそれ等の條件を設けて, 昭和11年より16年に亙つて實驗を行つた。
2. 降雨状態を繼續すると落果は甚しく多くなる。乾燥は繼續すると落果を起すが, 果實が皺縮する程度迄は大きい落果は起らず, 自然状態では乾燥は落果の原因となるとは考へられない。
3. 降雨及乾燥の變化は反復實驗の結果, その爲に落果が起つたと考へられる例は無かつた。
4. 降雨状態裝置とり水を取り去り, 唯單に遮光しただけでも落果は殆んど同樣に起り,強度に遮光すれば落果は更に烈しくなる。遮光状態にして電燈照明を行つたものは多少落果を減少した。根部を浸水状態に置いても落果は誘起されなかつた。
5. この結果から見て降雨に伴つて起こる落果は從來信ぜられた樣に降雨の水の關係ではなくて, 降雨に伴ふ光線不足に因るものと考へられる。
6. 遮光状態に於ても無核果は有核果より甚落果し易い。

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