園芸学会雑誌
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果樹害蟲に對する有機殺蟲劑の効果
福田 仁郎横澤 彌五郎
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1952 年 21 巻 1 号 p. 3-13

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抄録
各種果樹害蟲に對する有機殺蟲劑の効果を檢討した。その成績を要約すると次の如くである。
(1) カキミムシに對しDDT粉劑は砒酸鉛と同等の被害防止効果があり, その増量劑としてはベントナイト, カオリンが良好である。而して柿に對するDDT粉劑の藥害は認められない。
(2) ナシヒメシンクイムシによる桃の心折れ防除には蟲の棲息密度の小さい間はDDT水和劑が有効である。而して本劑はヨコバイ類に對してもその發生を抑制することが出來るが, ダニ類に對しては發生を助長する傾向がある。
(3) ナシヒメシンクイムシ及びゴマダラノメイガによる梨果と桃果の被害防止には有機殺蟲劑の効果は殆んど認められないが, 袋にDDT乳劑を塗布することによつてその被害を輕減することが出來る。
(4) ルビーロウムシ幼蟲に對するDDT乳劑の効果は殆んど認められない。而して成蟲に對しては機械油乳劑にDDT乳劑を加用することによつて稍々殺蟲効果を増進することが出來る。
(5) ミカンハムグリガご對してはBHC加用除蟲菊乳劑が忌避効果を有し, 硫酸ニコチンの代用となり得る。
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