園芸学会雑誌
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21 巻, 1 号
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  • 福田 仁郎
    1952 年 21 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    梨園に於ける〓蟲及びテントウムシに對するDDT及びBHC粉劑の殺蟲効果を檢討し, 得たる結果を要約すれば次の如くである。
    (1) 〓蟲に對しBHCの殺蟲力はDDTのそれよりも大きい。
    (2) テントウムシの各發育期に對してBHCの殺蟲力はDDTのそれよりも小さい。
    (3) 〓蟲の防除には殺蟲力大きくテントウムシに影響少ないBHC粉劑を選ぶことが得策である。
  • 福田 仁郎, 横澤 彌五郎
    1952 年 21 巻 1 号 p. 3-13
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    各種果樹害蟲に對する有機殺蟲劑の効果を檢討した。その成績を要約すると次の如くである。
    (1) カキミムシに對しDDT粉劑は砒酸鉛と同等の被害防止効果があり, その増量劑としてはベントナイト, カオリンが良好である。而して柿に對するDDT粉劑の藥害は認められない。
    (2) ナシヒメシンクイムシによる桃の心折れ防除には蟲の棲息密度の小さい間はDDT水和劑が有効である。而して本劑はヨコバイ類に對してもその發生を抑制することが出來るが, ダニ類に對しては發生を助長する傾向がある。
    (3) ナシヒメシンクイムシ及びゴマダラノメイガによる梨果と桃果の被害防止には有機殺蟲劑の効果は殆んど認められないが, 袋にDDT乳劑を塗布することによつてその被害を輕減することが出來る。
    (4) ルビーロウムシ幼蟲に對するDDT乳劑の効果は殆んど認められない。而して成蟲に對しては機械油乳劑にDDT乳劑を加用することによつて稍々殺蟲効果を増進することが出來る。
    (5) ミカンハムグリガご對してはBHC加用除蟲菊乳劑が忌避効果を有し, 硫酸ニコチンの代用となり得る。
  • 奥代 重敬
    1952 年 21 巻 1 号 p. 14-24
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 桃果吸收昆蟲として當場に於ては夜蛾科15種が判明した。それらの發生量, 時期は年による變動が大きいが, アケビコノハ, アカエグリバ, ヒメエグリバが吸收昆蟲の大半を占め, その他の種の發生は問題とするに足りない。
    發生始めは7月下旬より8月上旬で, 8月20日前後より最盛期に達し, 晩桃收穫期迄その状態を維持する。尚, 發生消長を青色螢光誘蛾灯誘殺數で知ろうとしたが, アケビコノハが誘殺されない爲に, この方法を當場では採用出來ない。然しアカエグリバ, ヒメエグリバに對しては適用し得る。
    2. 夜間の活動状態を見るに日沒後2時間迄に漸次増加最盛期に達し, 爾後日出2時間前迄その状態で吸收加害し, それより急激に減少して日出時には全て園を飛去る。
    3. 防除試驗として次の各方法を檢討してみた。
    (イ) 青色螢光誘蛾灯はアケビコノハに對しては効果は期待出來ないが, その他のものでは, 桃果への來襲を約半數に止めることが出來る。然しこの程度では被害を實用的に防止することは不可能と考えられる。
    (ロ) 燻煙法は平均2.5割程度に飛來蟲數を減少させ防除の目的を達成することは出來るようであるが, 實施上の不便の爲實用化にはなお障碍がある。
    (ハ) 忌避劑を地上或は樹上撒布したが, BHC水和, 粉劑, DDT粉劑共に無効で, 只ピレトリンを低乾中油に溶解したものを地上撒布すれば, 飛來蟲數に於て半減被害果率に於て約35%に止め, BHCを石油に溶解したものも飛來蟲數を半滅している。主劑としてBHC, 溶劑として低乾中油を使用するのが目下の所効果あるように思われたが, 今後の研究に俟つ所が多い。
    (ニ) 忌避劑塗布袋掛ではBHC塗布のものならば, 普通時期に1度袋掛したのみで被害果率を45.73% (標準94.12%) に止めることが出來たが, その臭氣が果肉に滲透する爲使用不可能である。DDT塗布袋は普通時期に袋掛したのでは効果少く, 本蟲最盛期直前8月中旬頃それ迄の新聞紙袋と掛替えねば有効でない。この際は44.12%に被害果を止めることが出來たが, これも諸經費の點より稍々不滿な防除法である。
  • 横澤 彌五郎
    1952 年 21 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    (1) 1949, 1950兩年に亙り, 興津に於て蜜峰の授粉効果に關して調査を行つた。
    (2) 雌花の雄花に近い場所のものは遠い場所のものより授粉される機會が多かつた。
    (3) 禪寺丸雄花に飛來する蜜峰は殆んど全部が後脚に花粉魂を附着せしめていた。
    (4) 富有雌花に飛來する蜜蜂は花粉を附着せしめているものは然らざるものよりも少かつた。
    (5) 之等に關聯して柿の授粉に就いて2, 3の考察を行つた。
  • 葱頭の貯藏に關する研究 葱頭鱗莖の大小と貯藏性並に貯藏期間中に於ける代謝作用
    緒方 邦安
    1952 年 21 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    本研究は昭和24年6月より昭和26年2月にわたり葱頭貯藏の基礎的研究の一つとして葱頭鱗莖の大小と貯藏性並びに貯藏期間中に於ける葱頭の代謝作用等について, 泉州黄葱頭を試料として實驗を行つたものである。
    本實驗成績を要約すれば次の如くとなる。
    (1) 葱頭鱗莖の大小と貯藏性との間には, 特定の場合を除いては何らの關係を認める事は出來ない。但し, 鱗莖の大いさが同一であつても, 収穫期の早晩によつて貯藏力は異なる。
    (2) 鱗莖の大小と呼吸作用, カタラーゼ作用力及びその含有成分等の如き生理的特性の上には, 殆んどその差を認め難く, 大小如何に拘らず略々同一である。この事は鱗莖の大小と貯藏力に差異なき事と符合して居る。
    (3) 葱頭鱗莖の底盤除去貯藏法は, 或る程度發芽を防止し得ても, 呼吸量著しく増加し病原菌が附着し易く, 貯藏力著しく減退する故適當でない。
    (4) 貯藏期間中に於ける呼吸作用の變化よりみて, 温暖地帶に於ける葱頭の貯藏期を休眠期, 休眠覺醒期, 休眠終了萌芽期の3期に大別して考える事が出來る。
    (5) 貯藏中に於けるカタラーゼ作用力の消長は呼吸作用と略々同樣の傾向を示すが, いずれもその消長には常に若干の「ズレ」がある。
    (6) 貯藏中に於ける含有成分の變化状態としては, 水分, 全酸, pH價に於ては大なる變化は認められない。全糖含有率は貯藏日數の經過と共に次第に減少するが, 休眠覺醒に伴う呼吸作用の上昇と共に萌芽期にかけて僅かに上昇する。而して還元糖と非還元糖との間には可逆的の變化がみられる。
    (7) 葱頭の發芽に際しては, 發芽の伸長に伴つて呼吸作用は増大する。而して鱗莖に於る糖分は減耗する。一方カタラーゼ作用力は發芽に伴い一時減少する。
    (8) 冷温貯藏は呼吸作用も抑制し且つカタラーゼ作用力を減退せしむ。從つてその全糖分も長期に亙り相當高率に保有せられる。40°Cの高温下にあつては, 休眠期中と雖も生活機能の支障をきたし腐敗を招來する。
  • 正林 和英
    1952 年 21 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    a) 冬期に開花せしめた蠶豆及び豌豆について, 温度と花粉の發芽發育, 低温と花粉の發芽, 花粉管の伸長状態, 發育途上の花粉管に及ぼす低温の影響, 低温と着莢状態等の調査を行つた。
    b) 花粉發芽の適温は蠶豆は20°C前後, 豌豆は25°C前後であるが, 共に非常に低温性であつて, 0°C附近に於ても發芽發育が認められた。
    c) 0°C附近に於ける花粉管の伸長状態は, 蠶豆は長時間後には適温に於けると同樣であつたが, 豌豆は僅少であつた。又10~15°Cの室温の日變化により, 豌豆花粉は發育の遲速を示したが蠶豆は異常なかつた。
    d) 發育途上の花粉管に及ぼす0°C附近の低温の害は, 豌豆蠶豆共に全然認められなかつた。
    e) 種々の點よりみて蠶豆の花粉は豌豆の花粉よりも一層低温下における發育伸長力が強い。
    f) 冬期戸外に於ける着莢状態の調査の結果, 着莢の實用的最低限界温度はかなり低く, 開花期前後の最低氣温が0°C附近でも支障は起らない。
  • 花光 長一郎
    1952 年 21 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    乾燥後の多濕は裂根を増大するが, 如何なる時期の乾燥が最も影響あるかを實驗し, 併せて裂根の發生機構について考察し, 次の如き結果を得た。
    (1) 初期の乾燥 (發芽揃後24日間) が裂根に最も影響を及ぼす如くである。
    (2) 初期の乾燥は, 根部の横斷面に於て支根方向の生長を多く抑制する爲, 根重の小なるうちに根部横斷面は, 圓型或は支根方向を短軸とする楕圓型になる。從つて裂根を多く生ずる。
    (3) 初期の乾燥は, 根幅より根長の増大率を抑制する爲, 根型指數を大とする。この爲にも裂根が起り易いと考えられる。
    (4) 直根割れは, 初生木質部の傍から發現し, 初生木質部の假導管の配列の方向, 即ち支根の方向に裂開することが多い。
    (5) 小かぶに於ては, 直根割れが最も大きく裂開する。
    (6) 肩割れ及び葉柄の附着部分より發する莖割れは, 何れも周皮から裂根を開始する。
    (7) 乾燥は周皮及び木質部の木質化を増大する。又周皮よりの硬度をも増大する。これが裂根増大の有力な原因となる。
  • 江口 庸雄, 加藤 照孝, 小出 正文
    1952 年 21 巻 1 号 p. 46-52
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    (1) 1927年から1931年にかけて大阪と岐阜で甲州種とデラウエヤ種の2品種を撰び花芽分化並に花芽の發育に就いて實驗を行つた。
    (2) 甲州種, デラウエヤ種共に6月中旬には成長點部が叉状に變つて假單條 (Sympodium) の形を示す。この時の標徴は茄子, トマトの花芽分化と似て居る。
    (3) 甲州種, デラウエヤ種共に花房の分化期は6月中旬であつて, 6月下旬には小穗形成期に達して居た。
    (4) デラウエヤ種の第2花房は6月20日~7月10日, 第3花房は7月8日~8月7日, 第4花房は8月29日~9月19日に形成され, 11月16日から12月29迄に小穗の分化が行われて居た。
    (5) 甲州種の第2花房は7月10日に始まり, 第3花房の分化は極く稀であつたが, 7月30日~10月19日の間に在つた。
    (6) デラウエヤ種は翌年4月11日に始めて蕚片が形成されて個々の花芽分化期に達し, 5月9日に肉眼で蕾が認められ, 5月16日に花粉, 胚珠が認められた。
    (7) 葡萄の花芽は柿, 栗の場合とよく似て冬季中不完全な花芽の状態にあつて翌春3月から4月にかけて蕚片, 花瓣等の器官が形成され急速に發育して開花, 結實する。
  • 大井上 康, 矢富 良宗
    1952 年 21 巻 1 号 p. 53-54
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 砧木 Vitis Berlandieri の挿木發根の實驗に於て緑枝は熟枝よりも發根率優り, 各種處理の發根効果に於ては, 特に緑枝に石灰水の0.3%20時間處理のものが良く, 石灰水0.3%+蔗糖10%20時間處理のものは一層顯著であつた。
    2. 緑枝が熟枝よりも活着よく, 同じ緑枝でも上部が下部よりも發根が容易であるのは生化學的理由に依るのではなくて, むしろ組織學的なものに因るのではないかと思われる。この點甘藷苗の發根の難易と相似する。
  • 成育並に貯藏期間に於けるカタラーゼ, オキシダーゼ及びパーオキシダーゼの消長
    岩崎 康男, 田中 康彦
    1952 年 21 巻 1 号 p. 55-57
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
  • 採苗後の甘藷太白種の炭水化物の含有量について
    岩崎 康男, 佐々木 幸夫
    1952 年 21 巻 1 号 p. 58
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
  • 小杉 清
    1952 年 21 巻 1 号 p. 59-62
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. テツポウユリの花芽分化期については, 研究者によつてそれぞれ意見が異るので, その原因を確かめ, 正しい分化期を定めようとして, この實驗を行つた。
    2. 使用した球根は, 種子カ島産の青軸鐵砲百合で, 6寸球 (平均36瓦) を撰んだ。
    3. 横濱に於ける自然状態では, 3月12日には, 生長點が肥厚したと思われるものもあつたが, 未分化のものとの區別が明らかでなかつた。ところが, 10日後の3月22日には, 生長點の中央より稍々片寄つた位置に溝が入り, 生長點が2つとなつたものが35%あつた。この時期を分化初期 (花房の分化期) とすべきであつて, 從來, 生長點の肥厚程度によつて, 分化期を定めたところに多くの差違が生じたのである。
    4. 3月31日には, 第1花の外花被が形成され始めたが, この時期が即ち分化期であつて, 分化初期と分化期とは, 必ず觀察する必要があると思う。
    5. 分化期以後の發育は順調に進んだ。即ち, 4月10日には雄蕋の形成まで進み, 4月20日には雌蕋, 5月0日には花粉•胚珠の初期のものが觀察され, 6月18日より開花した。
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