園芸学会雑誌
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標高と蔬菜類の生態 (第3報)
みの早生大根の生態
岩間 誠造浜島 直己
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1953 年 22 巻 1 号 p. 15-23

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抄録
1. 1949年及び1950年に, みの早生大根を, 標高の異なる平暖地長野 (360m), 準高冷地富士里 (710m), 高冷地菅平 (1390m) で栽培し, 早期抽苔, 生育相からみた生育適温を知らんとした。
2. 低温時早播による花芽分化は, 播種後15日間の最低気温16°C以下のときに起り, 早ぎは播種後30日で分化期に達した。
3. 低温による早期抽苔は, 播種当時12~13°C以下の場合に行われ, 低温が深く長い程抽苔数は多く, 早きは播種後40日から抽苔した。
4. 生育相は播種後20日までの, 生長量が少ない生育初期と, 20日以降生長量の急増する肥大期の2期に分けられる。
5. 地上部, 地下部の最大生長を行う適温は, 平均気温17~23°Cであり, 播種後20日位までの生育初期には, 気温に対して鈍感であるが, 20日以降の肥大期になると極めて敏感となり, 17~20°C附近が最も生育良好である。
6. 栽培型は, 夏の平均気温23°C以上にならない800m以上の標高では, 夏栽培が容易であるが, それ以下の標高の低い地帯では, 標高が低くなる程夏栽培は困難で, 春及び秋の2回, 17~23°Cのときに肥大するような栽培を行わねばならない。
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