抄録
タマネギ母球の貯蔵温度が抽苔開花期および採種量などにおよぼす影響について1955~1959年に調査を行なつた。
1.母球を20°C以上の高温,特に30°C以上で貯蔵すると抽苔開花期は室内貯蔵区より遅れ採種量が少なくなつた。特に札幌黄の場合は花芽が年内に分化するため,30°C貯蔵区の花穂は畸形化し,殆んど不稔になつた。
これは,花芽の分化・発育が高温により阻害されたためと思われる。
2.母球を0~5°Cの低温で貯蔵した場合,抽苔期が室内貯蔵区より遅れ採種量は少なくなつた。
3.母球を約10°Cの温度で貯蔵した場合は花芽の分化期が早くなり,抽苔もある程度早くなつた。しかし花芽の発育は葉の生長に伴なつて促進されるためか,抽苔期は翌春の気象条件により支配される点が大きい。
4.以上の点から母球の貯蔵適温について若干の考察を試みた。