園芸学会雑誌
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エゾミソハギの受精力に関する生理学的研究 (第2報)
花粉管の生長について
建部 民雄
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1964 年 33 巻 2 号 p. 155-158

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抄録

エゾミソハギはいわゆる3形花植物で, 長中, および短柱花個体よりなる。それらの間の受粉は, 柱頭と葯とがほぼ同じレベルの間においてのみ和合であり (適法受粉), 異なるレベルの間では不和合である(不適法受粉, 第1図参照)。
適法受粉: 長柱花×短柱花または中柱花の大花粉においては, 最長花粉管は受粉後11時間を経て子房部に侵入した。中柱花×短柱花または長柱花の中花粉においては, 最長花粉管は受粉後10時間を経て子房部に侵入した。また短柱花×中柱花または長柱花の小花粉においては, 最長花粉管は受粉後3時間を経て, ほぼ子房部に到達した (第2表)。
不適法受粉: 長柱花×長柱花の小花粉または中花粉においては, 最長花粉管は受粉後48時間を経ても, なお花柱の半ばにも達しなかつた。中柱花×中柱花の小花粉または大花粉においては, 最長花粉管は受粉後24時間を経ても, 2mm以下しか伸びなかつた。短柱花×短柱花の中花粉または大花粉においては, 最長花粉管は受粉後9時間で1mmまで伸びて, そこで生長を停止し, 24時間を経てもそれ以上はもはや伸びなかつた (第3表)。

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