園芸学会雑誌
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ブドウ果実の着色に関する研究(第5報)
黒色種および赤色種の果色ならびに色素含量に及ぼす光度の影響
内藤 隆次
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1964 年 33 巻 3 号 p. 213-220

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抄録

1) ブドウの黒色種としてキャンベル•アーリー, ベーリー•アリカントA, ブラック•クィーン, スーパーハンブルグおよび赤色種としてDK151, 甲州, レッド•ミルレンニウムを用い, 果房に照射する日照の強さを寒冷紗およびアルミ箔の袋を掛けて自然日照の60, 40,25および0%に調節し, 果色, 果皮中の色素含量および果汁中の糖酸含量に及ぼす光線の強さの影響を調べた。この場合, 袋掛けによる気温の変化は考慮する必要のないほど, ごくわずかであつた。
2) 黒色種の果色の発現には光度はほとんど影響しなかつた。しかし, 赤色種の果色は光度の低下に伴なつて劣り, とくにレッド•ミルレンニウムおよび甲州の0%区では全く果色が発現しなかつた。光電色沢計で測色すると, この果色の変化は主として色相の変化に関係した。
3) 果皮中のアントシアニン含量は, 黒色種, 赤色種ともに40%以下の区では光度の低下に伴なつて減少した。その減少割合は黒色種では一般に小さく, 赤色種とくにレッド•ミルレンニウムでは著しく大であつた。したがつて, 黒色種で果色とこのアントシアニン含量の変化との間にほとんど一定の関係がなかつた。なお, 黒色種および赤色種ともに光度が25%以下になると糖含量が減少し, その傾向はとくに甲州でいちじるしかつた。

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