園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
土壌空気中の酸素濃度がブドウデラウェアの生育ならびに養分吸収に及ぼす影響 (第4報)
土性の異なる場合の影響の比較
岩崎 一男門屋 一臣倉岡 唯行
著者情報
ジャーナル フリー

1966 年 35 巻 3 号 p. 218-224

詳細
抄録
1. 川砂と粘土を各種の割合に混合して, 人為的に埴壌土, 壌土, 砂壌土および砂土の4種類の土性の土壌を作り, これに酸素濃度20, 15, 10, 5, 2および0%の空気を通じ, デラウェアの1年生苗木の樹体生長ならびに養分吸収に及ぼす影響を調査した。
2. 樹体生長はいずれの酸素濃度区においても埴壌土区が最もすぐれ, ついで壌土区, 砂壌土区, 砂土区の順であつた。
葉内5要素含量は, いずれの土性においても酸素濃度の低下に伴うK含量の減少程度が最も大きく, ついでPとMgであつた。また, 同一酸素濃度における土性間のK含量を比べると, 埴壌土区が最も多く, 砂質になるにしたがつて少なくなつた。酸素濃度の低下に伴う樹体内総含量の減少程度はKとMgが大であつた。
3. 根の呼吸阻害剤としてNaFを用いて砂耕した場合, NaFの濃度が高くなるにしたがつて樹体生長は抑制され, 樹体内3要素総含量も減少した。減少程度はKが最も大で, ついでP, Nの順であつた。
4. ワールブルグ検圧計を用いて, 切断根の呼吸と, Kの吸収に及ぼす酸素濃度の影響をみたところ, 酸素濃度の低下に伴い, 発酵炭酸ガス呼出量が増加するとともに, 根から外液中へKの溶出がみられた。
著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top