抄録
1. 川砂と粘土を各種の割合に混合して, 人為的に埴壌土, 壌土, 砂壌土および砂土の4種類の土性の土壌を作り, これに酸素濃度20, 15, 10, 5, 2および0%の空気を通じ, デラウェアの1年生苗木の樹体生長ならびに養分吸収に及ぼす影響を調査した。
2. 樹体生長はいずれの酸素濃度区においても埴壌土区が最もすぐれ, ついで壌土区, 砂壌土区, 砂土区の順であつた。
葉内5要素含量は, いずれの土性においても酸素濃度の低下に伴うK含量の減少程度が最も大きく, ついでPとMgであつた。また, 同一酸素濃度における土性間のK含量を比べると, 埴壌土区が最も多く, 砂質になるにしたがつて少なくなつた。酸素濃度の低下に伴う樹体内総含量の減少程度はKとMgが大であつた。
3. 根の呼吸阻害剤としてNaFを用いて砂耕した場合, NaFの濃度が高くなるにしたがつて樹体生長は抑制され, 樹体内3要素総含量も減少した。減少程度はKが最も大で, ついでP, Nの順であつた。
4. ワールブルグ検圧計を用いて, 切断根の呼吸と, Kの吸収に及ぼす酸素濃度の影響をみたところ, 酸素濃度の低下に伴い, 発酵炭酸ガス呼出量が増加するとともに, 根から外液中へKの溶出がみられた。