園芸学会雑誌
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ハイドランジアの花色に対する土壌酸度の変化の影響について
岡田 正順船木 司郎
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1967 年 36 巻 1 号 p. 122-130

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抄録
1. ローズピンク種のハイドランジアを用いて, 生育期間中いろいろの段階で, 異なつた酸度の土壌に移植し, 花色の変化を調査した。
2. 促成期に強酸性の土壌で栽培したものは, 苗の育成期にアルカリ性土壌で栽培したものでも青色花となつた。また苗の育成期から, 促成期まで微酸性の標準土壌で栽培したものも, 青色花となつた。
3. 鉢上げ後苗の育成期から促成期までアルカリ性土壌で栽培したものは, 鮮明な桃色花となつた。また苗の育成期に標準土壌で栽培し, 促成期だけアルカリ性土壌で栽培したものは, 苗の育成期の途中でアルカリ性土壌に移植したものと同様に, 鮮明な桃色花となつた。
4. 苗の育成期に, 1, 2か月間強酸性土壌で栽培したものは, 後ずつとアルカリ性土壌で栽培しても, 苗の育成期は強酸性土壌とし, 促成期だけアルカリ性土壌としたものと同様, 桃色花とはならず, 青色との中間色となつた。
5. 生育•出蕾および開花については, アルカリ性土壌および強酸性土壌に長く置いたものは, 標準土壌に置いたものにくらべて, 側枝数が減少し, 茎長が短くなり, 出蕾数が著しく少なかつた。しかし開花日には, 変化がなかつた。
6. 葉色は, アルカリ性土壌で栽培したものは黄緑に, 酸性土壌で栽培したものは, 濃緑になる傾向があつた。またクロロシスは, アルカリ性土壌で栽培したものに比較的顕著に発生した。
7. リンは葉より花の方に多く含まれており, 酸性土壌で栽培したものは少なく, アルカリ性土壌で栽培したものに多い傾向があつた。
8. アルミニウムは, 花より葉に多く含まれていた。葉および花に含まれるアルミニウムの量は, 促成期に酸性土壌で栽培したものには著しく多く, アルカリ性土壌で栽培したものには少なかつた。また花に含まれるアルミニウムの量と花色との関係は, 青色花ではおよそ9502,900ppmの範囲にあり, 中間色のものでは300~400ppm, 桃色花では200ppm前後またはそれ以下であつた。
9. 青色•中間色および桃色のがく片から抽出したアントシアニンをペーパークロマトグラフィにより展開した結果, Rf値には一定の変動はみられなかつた。
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