園芸学会雑誌
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窒素の施用時期がサツマイモの地上部生育相ならびに塊根の着生および発育に及ぼす影響
森田 敏雄
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1967 年 36 巻 1 号 p. 114-121

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抄録
圃場, 木わくならびに鉢試験などによつて, 砂質土壌における窒素肥料の施用時期, 砂質地と粘質地とにおける窒素の施用適期の差異などを知ろうとして実験を行なつた。
1. 砂質地では, 窒素を挿苗後30日前後に施用すると, 塊根の着生に最も密接な関係があると見られる7月中旬ごろから8月中旬ごろにかけて, つるの伸長が急激に行なわれるため, いもの着生を著しく抑制することになる。しかし, その後の肥大期を通じて, 地上部生育のうえできわめて有利な条件を保持し得られるため, いもの肥大発育がじゆうぶんに行なわれる結果, ここに増収が得られることになる。
2. 粘質土壌では, 砂質土壌よりも生育がおくれやすい関係から, いくぶん窒素の施用時期も早めたほうが肥効を高め, 生育期間を通じて地上部生育のうえで優位に置かれ, 増収に役立つのでないかと考えられる。
3. 窒素の全量を適期に1回に施用するよりも, 一部を元肥, 一部を適期に追肥する分施方式を採つたほうが生育期の前年において一時的につるの伸長が急激に行なわれることを避けられるし, 生育の後半に至つても地上部生育の衰えを防ぐことができるから, いもの着生を良好にし, かついもの肥大発育のうえでもきわめて有利な態勢に置かれるため, 安全に多収できることになる。やせた粘質土壌でも, こうした分施効果があるのでないかと推定される。
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