園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
カキの脱渋および貯蔵に関する研究 (第1報)
脱渋果中のタンニン細胞の顕微鏡的観察
北川 博敏
著者情報
ジャーナル フリー

1968 年 37 巻 1 号 p. 89-94

詳細
抄録
天然に樹上で脱渋した甘ガキ, および, 追熟, アルコール, 炭酸ガス, 温湯, はく皮乾燥, γ線照射, 凍結などの方法により脱渋した渋ガキの果実中のタンニン細胞を顕微鏡で観察し, 五つの型に分類した。
褐変型: 細胞内容が褐変し, 凝固, 収縮しているもので, 褐斑を生ずる甘ガキおよび褐斑を生ずる渋ガキ中に認められた。
収縮型: 細胞全体が収縮し, 細胞内容は凝固, 収縮したもので, はく皮乾燥した渋ガキ中に認められた。
凝固型: 細胞内容が単に凝固しただけのもので, 炭酸ガス, 温湯, アルコールなどにより脱渋した渋ガキに多かつた。しかし, はく皮乾燥, 凍結した渋ガキ, 褐斑を生じない甘ガキおよび褐斑を生ずる甘ガキにも認められた。
分離型: 細胞内容が凝固せずに, 原形質分離をおこしているもので, 追熟, γ線照射した渋ガキおよび褐斑を生じない甘ガキに多かつた。しかし, アルコールで脱渋した渋ガキおよび褐斑を生ずる甘ガキに認められる場合もあつた。
破裂型: タンニン細胞は破裂し, 細胞内容の1部または全部が細胞外に吐出しているもので, 凍結貯蔵して脱渋した渋ガキ中に認められた。
著者関連情報
© 園芸学会
前の記事
feedback
Top